あれは、いつのときだったのか、よくおぼえてないけど、オプティムって銘柄の株を買った。
オプティムは、どうやらインターネットの会社で、特許をたくさんもっていて、わりと将来有望そうだと、ネットのどこかに書いていて、でも、正直なところ、なにをやってる(売ってる)会社なのか、僕にはわからなかった。
株の売買の鉄則に、わからない会社を買っちゃいけない、というのがあって、だから、ちょっと下がったタイミングで、まだキズの浅いうちに売れば(損切りすれば)よかったのかもしれない。
でも、ふと見ると、もうすぐ3Qの決算で、もしかしたら、決算をまたいだら、奇跡?起こるんじゃないかって、そんな夢をみてしまった。
そこからは、みんなが想像したとおり。
決算発表の日、午前中にマイナス10%に転落して、昼を過ぎたら、もっと延焼(マイナス15%)して、もう、なにもかもが、わやくちゃだった。
ぱっくりひらいた傷口から、とめどなくあふれる鮮血のように、画面をリロードするたびにマイナス(含み損)が拡大していった。
こんなとき、どうすればいい?
それから、お通夜のように暗い日中を過ごして、最後の最後、終了間際の14時55分「待ってくれ、夜は日が昇る瞬間がもっとも暗い」なんてつぶやきながら、スマホの画面を慎重にタップして、オプティムをさらに100株、買い足した。
そこからは、みんなが想像したとおり。
オプティムは、翌日さらに落ちて、マイナス6%で着地した。ナンピンしたところで、さらに傷口をひろげてしまった格好で、誰に見られたワケでもないのに、ひどい恥の感情にさいなまれた。
1200円の100株、1000円の100株、つごう200株を22万円で購入して、現在価格は18万5千円。
つまり、マイナス3万5千円という、地味に痛いダメージ(含み損)をくらった格好で、ズキズキする心中をひきずりながら、なにを見てもうまく笑えなくて、声は笑ってるのに、口は笑ってない、というような、あえて名付けるなら、表情筋引き攣り症候群とでもいうような、そんな病状におちいっている。
あれから3日たって、オプティムがようやく下げ止まったみたいだ。
今はただ、オプティムの株価が上がってくれるのを、神に祈り続けている。