インターネットは、すべての知識を繋ぎ、正確で正しい情報を双方向にやりとりできる。
あの頃の僕らは、たぶん、そんな風景を心に描いていた。でも、仕組みはいつしか「拡散力」という言葉に変わって、莫大な富を製造するツールになった。
すると、誰もがフェイクに溺れた。
需要と供給、そしてお金とマッチしたそれは、四季の淡い風景を、レッド、ゴールデン、グリーンの原色に塗りつぶし、インターネットには、フェイクとそのコピーであふれかえるようになった。
要するに、ここには、信ずるに値する知識なんか、ないってことなんだよ。
ところが、そんな僕の絶望を救ってくれる、素晴らしい読みものを発見した。それが、All Aboutの恋愛コラムなんだ。
恋愛は思いやる気持ち
恋は心の病というように、誰もが一度は罹患する、答えのない迷宮だよね。そんなときにオススメしたいのが、All Aboutの恋愛コラム。片瀬萩乃さんという方が書いている。
これの、どこが良いのかと言うと、テクニックや心理分析じゃないところ。とにかく、当然のことしか書いていない。だからこそ、これを読むと、自分がどれだけ、人として当たり前のことが、当たり前に出来ていなかったか、わかるんだよ。
いくつか引用してみるよ。
「恋愛は好きになったほうが負け」と言いますが、実際はそうじゃありません。「恋愛は盲目的になったほうが負け」なのです。
たとえ相手を一途に好きであっても、関係が良好な人と言うのは、彼だけではなく周りがきちんと見えている人です。
ですから、「好きになったら負け」と考えて、相手よりも優位に立とうと考えたりしないでください。自分が好きな気持ちは何よりも大切にすべきです。ただし、その気持ちに「風通しをよくする窓」をつくることが、恋人関係に発展する大きな秘訣になってくるのではないでしょうか。
ツイッターでは、誰もが自分が正しいと譲らずに、フェイスブックでは、スキあらばマウンティグして優劣を決めようとしている。そんなとき、この文章に出会えば、自らの愚かさに気づく。
例えば、あなたが悩みを相談したことに対して、彼が「その考えは、ちょっと甘いんじゃない?」と言ったとします。ただでさえ落ち込んでいたあなたは、「え……そんなに厳しく言わなくても……」と思うことがあるかもしれません。でも、それが彼なりにその悩みに向き合って、精一杯あなたを思った真摯な発言であれば、本気度の高さの表れかもしれません。
ポイントは、あくまでも「あなたを下げるような発言、バカにしたような発言」をしていないかどうか。ただあなたを甘やかす発言=本気度の表れではないということを心得てください。
どちらも、至極真っ当なことなんだけど、その真っ当なことが出来ていないのは、相手の気持ちを考えていない、浅慮(想像力の足りなさ)のせいなんだ。
題材は恋愛だけど、片瀬萩乃さんは、見た目だけじゃなく、人間的にも、優しくて素晴らしい人で、僕にはそれがわかる。
このごろ、ネットや、それに付随するメディアに、とても強い不快感を感じていた。それは僕だけじゃなくて、みんなもそうだと思う。
そんなとき、この恋愛コラムを読むと、人としての原点に気づかせてもらえる。なにが大切だったのか、僕らに思い出させてくれるんだ。
本当に、心が洗われるから、ぜひとも読んでみてほしい。
著書もあります