ちるろぐ

ここが僕のアナザースカイ

朝っぱらからホテルにシケこむ洒落とんしゃ

今朝のことです。

通勤で毎日とおる国道が工事で渋滞していました。僕は、華麗にハンドルを切って、脇道に飛び込むと、ウラ道を軽快に飛ばしました。

本線と並行して走る側道は、渋滞の先頭にまわり込めるのです。

この裏ワザで5分は短縮できるのです。

僕が、ちょっと愉快な気分でアクセルを踏むと、前方の暗がりから、男が走ってきました。まさか、こんな時間に、人が通ると思わなかったので、ヒヤッとしました。

小雨の降りしきる朝の6時です。

すると、男の後から「待ってぇ〜」という風情で、キレイな女性が現れました。

モデルのように背が高く、ベージュ系に統一したゆったりした洋服に、アンクル丈のタイトなパンツ。高いヒールで、手には大っきい財布を持っていました。

正直、むしゃぶりつきたくなる、洒落とんしゃ(美人)です。小雨のパラつく灰色の空でしたが、輝いて見えました。


嫌な予感

この時点で、僕は嫌な予感がしていたのです。

やっぱりカップルは、カーテンのかかった駐車場に飛びこみ、ホテルの中に消えて行きました。

ここは、駅から歩いて5分の場所で、カップルの利用するホテルが3つも建っているのです。

しかし、朝の6時ですよ?

まさか、今からでしょうか。

僕はこれから仕事なんです。いや、僕だけじゃなく、世界中の、ほとんどの人がそうなんです。

ところが、高級スーパーで買い物してそうなあのカップルは、今からなんです。

それに、いくら雨が降っているからって、女性を置き去りに、先に行くような男ですよ。きっと、わがままで、身勝手な振る舞いをするに違いありません。

ゆるせません。


忘れ物?

いや、ひょっとしたら、忘れ物をして取りに戻ったのかもしれません。

昨日は、連休の最終日でしたから、別れがたく朝まで一緒にいたのです。そして、早めにホテルを出たところ、忘れ物に気がついて戻ってきた…。

でも、その場合だったら、男がひとりで取りに戻ればいいことです。

そもそも、ふたりで楽しんだ事実は、なんら変わりありません。そんな配慮は慰めにもならないのです。


時間はたっぷり

あの瞬間を目撃してから、会社に着くまで、僕はずっと頭の中でグルグルしていました。

息せき切って、ホテルのエントランスを抜けた2人は、エレベーターのなかでお互いを激しく抱きしめるのです。

もう待ちきれない。

靴を脱ぐのももどかしく、絡まりあってベッドに倒れこむと、シャワーも浴びずに求めあうのです。

それを笑って押しとどめる洒落とんしゃ。

「時間はたっぷりあるのよ」

ああ、なんてこった。


僕は今から仕事です。