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平成生まれのみなさんこんちは。昭和のライターのチルドです。
信じてもらえないかもしれませんが、昭和の時代は、女の子のおしりを触っても大丈夫でした。
たいていどこの会社にも、ちょっとエッチで迷惑なオッサンというのがいて、女の子のおしりを触りまくっていたのです。
僕の働いていた職場も例外ではなく、オッサンはフラリとやって来て、女の子の隙を見つけては、ヒップタッチ活動を熱心に行っていました。
それが合法だった背景には、その程度で大騒ぎするのはダサい、という風潮があったからです。
若かりし日
そのころ僕はまだ10代でしたから、そんなオッサンにやれやれだと呆れていました。アルバイトの女の子たちにも、「○○さん(オッサン)来たよ、みんな気をつけてー」と、注意をうながす側の人間だったのです。
とはいえ、僕にも触りたいという願望がなかったと言えば嘘になります。ただ、オッサンのように迷惑には、なりたくありませんでした。
もっとも、そこまでおしりに執着する気持ちもありませんでしたし、若かった僕は、然るべき手続きさえ踏めば、おしりを触ることができる可能性が、わずかばかりはあったからです。
セクシャルハラスメント
そんな時代にピリオドをうったのがセクハラでした。正式名称セクシャルハラスメント、略してセクハラです。日本人は略すのが本当に好きですね。
金の神輿に担がれたセクハラはとても強力でした。女の子のおしりを触ると御用になる時代の幕開けです。
たしかに、度を超えた触り方をするオッサンがいました。また、お酒の席でひどいオッサンがいたのは事実です。無力なオッサンは迷惑行為でしたが、権力を持ったオッサンのお触りは暴力だったのです。そんな連中のせいで、おしりはご法度になりました。
皮肉にも無力なオッサンの権利まで同時に消滅してしまったのです。
禁制の悲しみ
時は流れ、女子高生のスカート丈はとめどなく短くなり、ジーンズやパンツのヒップラインは限りなく美しくなりました。時代はおしりをどんどん魅力的にしていくのに、それとは逆に触れることは出来なくなってしまったのです。
そして僕もオッサンになりました。奇しくもあの無力なオッサンと同じわだちを僕も歩んできたのです。
そして、もしもセクハラがなければ、あの昭和の自由な息吹が生きていたならば、僕もきっと…。
書いていて、切なさがこみ上げてきました。
どうやら僕は、生まれてくる時代を間違えたようです。