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こんちは。ライターのチルドです。
ちょうど去年の今頃でしたよね。「日本人は褒められても素直にありがとうって言わない」という話題でインターネットがざわついていたのは。
日本人は謙虚なので、褒められてもあからさまなドヤ顔をしたりしません。この国は古来から謙虚さを美徳としてきました。
しかし、時代は変わります。欧米ではそんな日本の風習は奇異に映ります。するとグローバルで先進的なインターネット民はこう言いました。褒められたら素直にありがとうと言え、と。それがみんなの出した答えでした。
あれから一年。
素直に「ありがとう」言えていますか…?
迫りくる新たな脅威
ところが先日のことです。僕はこの「謙虚」にも「素直」にも、そのどちらにもあてはまらない、まったく新しい脅威に遭遇してしまったのです。
その人はスレンダーでお仕着せの制服がよく似合う知的な女性でした。そして彼女は、白く美しい指先をとても器用に使いこなし、たくさんのお札を数えていました。僕はその手さばきにいたく感心し、こう声をかけました。
「数えるのお上手ですね!」
すると彼女は、下から僕の顔をぎっと見上げてこう言い放ったのです。
「もしかしてバカにしてる?」
そんな…滅相もない!僕は言葉を失って口をぱくぱくしてしまいました。
彼女は、なにをどう間違えたのか、敵意をむき出しにして僕に、この僕に対して牙を向けてきたのです。
褒められたら素直にありがとうって言え。それが僕たち国民の総意でしたよね。百歩譲って謙遜したとしても、僕は驚きませんでした。むしろ彼女に憐れみすら感じたかもしれません。
ちょっと頭が混乱してきたので整理させてください。
褒められた場合の反応
「それほどでも」
一般的な反応。あからさまなドヤ顔をしない、古き良き時代の日本人。
「ありがとう」
欧米では一般的な反応。外資系の侵略により一躍市民権を得たグローバルコミニュケーション術。相手に好印象を与えようとするあざとさも見え隠れ。
「バカにしてる?」
現代社会の病巣。空気、コミュ障、LINEなどの閉塞的サービスに汚染された変質者の群れ。
こうやって見直してみると「もしかしてバカにしてる?」の破壊力が如実にあらわれています。あんな素敵な女性の口から、こんなドス黒い言葉が出るなんて…。
先鋭化する言葉たち
いや、実に恐ろしいことです。そして僕たちが完璧だと思っていた「素直にありがとう」メソッドには、こんなに大きな欠陥があったんです。
つまり、ごく一部の日本人は、自分がカンタンだと思っていることを褒められると、謙遜でも素直でもなく、バカにされていると感じてしまうのです。
しかし、よくよく考えてみると、そうゆう人って昔からいましたよね。なにを言われてもネガティブにとらえるというか、ひねくれている人間が…。
僕はどんなに辛くても、そんな人間にはなりたくない。そんなふうに感じる出来事でした。
んじゃ、またね。