ちるろぐ

ここが僕のアナザースカイ

ジャンヌ・ダルクだと思ったらマリー・アントワネットだった

表題のとおりなんだけど、ジャンヌ・ダルクだと思ったらマリー・アントワネットだった、という小話を連載していくよ。

ずっとまえに、僕の働いている会社の社長が解任されたって、話したよね。

そのエピソードのつづきなんだけど、やっぱりというか、案の定というか、当初に懸念していた不安が現実になっちゃったんだ。


ちょっと話がややこしいから、いったん時系列を整理するね。


さかのぼること2013年の秋。

創業者でありオーナーの社長が亡くなった。いわゆるワンマン経営。

そのとき、当時の取引先の会社に、経営権というか会社の株を1億で売却しようとしたんだけど、いろいろ交渉した結果、やっぱヤバそうだな、ってことで、買収の話しは流れちゃったんだ。


そこで、当時の税理士の考えたスキームが、銀行から会社名義で限度額いっぱいまで借入れして、現金を作るってこと。それにプラスして、亡くなった社長に掛けていた生命保険を、退職金名目で引き出すことだった。

これでまぁ、6千くらいのキャッシュを作って、あとは不動産やら預金やら、なんやかんやで、都合1億くらいそろえたんだと思う。

そこでネックになるのが、次の社長をどうするかってこと。

お金は作ったけど、会社のお金を合法的に引き出すには、次の社長の印鑑が必要になる。

でも、まともな人間を社長にすると、退職金はともかく、無意味な借入れとか、会社で掛けていた保険金とかを、ぜんぶ引き出すのはおかしいってなる。

だって、会社の借入れは、本来会社で使われるべきだし、会社の経費で社長に掛けていた生命保険は、会社の資産になるからね。

そうゆう矛盾を解決すべく、次期社長に指名したのが、なんでも脳死でハンコを押せるゾンビだった。

つまり、ゾンビ(次の社長)は、自動的にあらゆる借入れの連帯保証人になるから、結局、ゾンビが1億借金して社長の遺族に払う、みたいな構図になるんだよ。

結果として、完璧なスケープゴートとなった彼(ゾンビ)は、すべてのハンコをぽんぽんぽーんと押して、社長の遺族は華麗に1億をゲットした、というストーリーなんだ。

と、ここまでが僕の推測。

あくまで推測なんだけど、いろんな話の断片と、決算書の数字をつき合わせてみちびいたから、大筋では間違ってないと思う。


ともかく、そんなのを社長にしちゃったんだから、ことの成りゆきは、推して知るべしだよね。

棒をもつと振りまわしたくなる─

金づちをもつと釘を打ちたくなる─

ロードオブザリングよろしく、指輪の魔力に呑みこまれたゾンビ氏は「われこそはキングなり!」ってな具合になっちゃってさ…。

こんなちっぽけな会社で、取るに足らない権力でも、やっぱそうなっちゃうんだよ。

人って悲しい。


つづく