タイトルのままだけど、僕はそんなにウナギが好きじゃない。
先に断っておくと、これから話すのは、僕の彼女に対する、ただの愚痴で、オチも面白さも、なにもないから注意してほしい。
まず、ウナギ高いよね。
どうかしたら、1匹、3,000円くらいするもの。だからと言って、そんなに特別かというと、そうでもない。
そして、顔のところに骨がある。顔はのけて欲しいのに、必ずつけて出してくるんだよ。あれもちょっと気分が落ちてしまう。
冷静に考えたら、3,000円出すなら100グラム1,500円の和牛を200グラム買える。牛肉とウナギは別物って考えもあるし、僕もそう思う。
ただ、これから一生、牛肉が食べれなくて、ウナギしか食べられなくなったと考えてみてよ。
牛肉のみの生涯と、ウナギのみの生涯。
どちらが幸せか、ちょっと考えたらわかることだよね。
要は、程度の問題なんだ。
主に、牛肉や豚肉、あるいは鶏肉を食べていて、一年に一回か二回、ウナギを食べればいい。それが、バランス感覚というものなんだ。
それなのに、僕の彼女は、すぐにウナギを買ってしまう。3,000円が半額になっていたら買ってしまうし、鹿児島や宮崎産を 1,298円で見つけても買ってしまう。
いや、それは安くない。
そんなに何度も食べたくもない。
僕がウナギ好きだったらわかるけど、そんなに好きじゃないって、三十回くらい言っている。
それなのに、「またウナギ買ったの?」ってなる。
それに、外食でも頼もうとする。いや、ここのウナギ、絶対に美味しくないし、この前食べて不味いって思わなかったの?
というときも、頑なにウナギを注文して、正直ガッカリしてしまった。
それで食べたら、やっぱり不味かった。これって、素人が冷凍パックのウナギを温めてるだけだよね、という。
そしてまたウナギだよ。
思わず「ウナギってマズイよね」って言ってしまった。それも、すごく意地悪な感じで!
彼女はたぶん、学者が理論を証明したいように、ウナギの美味しさを証明しようとしている。だから、僕が美味しいと思うまで、あるいは、美味しいと僕が言うまで、絶対にあきらめる気がないんだ。
だけど、違うんだよ。ウナギはたまに食べるから良さが引き立つし、値段ほど美味しくもないから、他のものにして欲しいんだよ。
二十年も一緒にいて、こんなに分かり合えないなんて、僕らの愛って、僕らの共有した時間って、いったい何だったんだろう。
本気で、もうウナギは見たくないんだ。