みなさん、どんなスポーツが好きですか?
僕は、サッカーと野球、それからバスケットボールが好きです。サッカーでは、やはり、本田圭佑選手のファンですね。彼の個性と、勝利に対する貪欲なプレーには、いつも胸が熱くなります。
いっぽうで、もしも選手たちが、ダラダラとプレーしていたらどうでしょう。緊張感のまったくない試合なんてつまらないですよね。
つまり、みなさんは、必死にプレーする選手が好きなんです。
異論はありませんよね?
そこは覚えておいて、先に進みましょう。
必死になる人々
僕たちはみんな、選手が必死になっているから見ていて楽しい。面白く感じる。実はこれ、とても恐ろしいことなんです。
なぜなら、人が必死になるのは、なにもスポーツに限ったことではないからです。
たとえば借金で苦しんでいる人はどうでしょう。彼らは、疑いの余地もなく、必死です。
必死な姿が大好きな僕は、不謹慎ながら、笑ってしまうかもしれません。そうなんです。不謹慎という顔の裏側で、僕は、必死になっているひとを、エンターテイメントとして、消費しています。見て、楽しんでしまうのです。
古くは、コロッセオで戦うローマの剣闘士のように、人は皆、他人が水に落ちて、もがき苦しむのを、熱狂的に観戦してしまうのです。
行き場がなくて、不当な労働環境で必死に働く工員。
理不尽なノルマをかせられた、必死の営業マン。
僕たちの住む世界は、誰かの必死さであふれています。
思い出してください。
みなさん、さっき、必死にプレーする選手が好き。そう言いましたよね。
あなたは、必死になっている人間を見るのが大好きなんです。
僕は、その事実を思い出すたびに、暗澹とした気持ちになります。ひどいと思いつつも、人々が必死にもがく姿を、楽しんでしまっている。
それは皆、同じなのです。