散るろぐ

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トイレの散歩道

トイレの話題で思い出したけど、以前、うちのパートさんに起こったアクシデントを書くよ。

あれは、昼休みのちょっと前だったかな。パートさん、トイレ行くつって席を外した。イオンによく似た商業施設でトイレは店の外。

僕は彼女が戻ってくるまで、お店の整理整頓なんかしてたのよ。

しばらくすると、ただいまー、つって帰ってきたんだけど、なんか、スカートからケムリが出てる。

僕は「な、なんぞ?」と思って、よく見直すと、それはケムリじゃなくてアレだ。

トイレのロール紙だ。

その刹那、僕はすべてを把握したね。

こやつ、トイレのロール紙を、洋服(たぶんパンツ)にはさんで、ここまで帰って来ちまったな…って。

ロール紙の行方をチラっと目で追うと、やっぱり通路のずーっと先まで伸びていて、ヒラヒラ舞いながら曲がり角へ消えていた。

日頃から、おっちょこさんで、仕事もあわててミスするタイプだったから、とうとうやっちまったなと。

つーか、途中で切れずに、よくここまで運んで来たな。神か。

そのとき、こやつは、まだ気がついていなくて、鏡を見ながら髪留めを直していやがった。おまえさん、すごいモン連れて来とるんやが…。

僕は、紳士だけど、こればっかりは早く教えてやらんと、えらい事故になるって直感したんよね。だから、相当に気まずかったけど「ねぇ、ねぇ、なんか付いてるよ」つって、ボカシながら伝えたんよ…。

そしたら、後ろ見てスグに気がついて。もう後の祭りだけどさ。かお真っ赤にして、すごいスピードで回収してたよ。ロール紙を手繰りながら、通路の先に消えていった。

んで、戻ってきたらどんな顔すりゃいいんだ?
というか、戻って来るのかな… と思ってたら、戻って来たよ。

すると、僕を見るなり「ハンッ!」だか「フンッ!」というような、息を吐いて、それっきり口を開かなくなっちまった。

さっきの慌てっぷりなんか、どこ吹く風というようなさ。サバサバした雰囲気を全力で出して、恥じることもなく平静を装ってるの。

それで、やけに目力つよく、挑むようにガンを飛ばしてくるわけ。「オマエ笑ったら承知しねえぞ」って無言の圧力かけてくるのよ。

いや、笑わねぇし。

ホントに気の毒な事故だと思うよ。でも、すべての原因はアンタ自身なんよ。まさか、トイレットペーパーを股にはさんで、ショッピングモールをねり歩くなんざ、とてもマネできる芸当じゃない。

まぁ、その日は終始無言だったね。

向こうはどうだか知らないけど、僕は「時と沈黙のみが傷を癒やす」みたいな、ヘンに哲学的な気分になってさ。



あの人とは、まるっと五年、一緒に働いたね。もちろん、いまも会社にいるよ。職場は変わったけど。

毎日、5時間も一緒に働いてたから、親兄弟よりも性格をよく知ってる。仕事で長期間働くと、お互いの嫌なところ、全部見てしまうよね。

年齢的には、いつ退職しても不思議じゃないけど、元気にしてるかな。

そんな思い出にひたる日曜日でした。


今日はここまで。