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散るろぐ

千載具眼の徒を待つ

雨の日の一期一会

こんちは。ライターのチルドです。

作家の石田衣良さんは、雨の日に自転車で走るのが好きだと言っていました。ちょっと意味がよく分かりませんが、多かれ少なかれ、作家とは総じてそういう人種なのかもしれませんね。

ボス貝を求めて

子どもの頃、雨の日の楽しみと言えば「貝拾い」でした。僕が住む北九州市の学校や公園のグラウンドの土は、そのほとんどを海から運んできた砂で作られていました。そのため校庭や砂場には小さな貝殻が無数に混じっていたのです。


http://www.flickr.com/photos/12707238@N00/14136093311
photo by Eric.Ray


雨の日、それも側溝から水があふれるような大雨の日が来ると、僕は必ず傘をさしながら校庭を歩き回りました。強い水流で砂がきれいに流され、今ままで見つからなかった「ボス貝」を見つけやすくなるからです。

ボス貝ってなに? という話しですよね。これはたぶん、ウィキペディアで調べても分からないでしょう。

貝割り

かなりマイナーですが、僕の住んでいた地域には「貝割り」という遊びがありました。

この遊びは、まず、2枚の貝殻を用意します。そして1枚を地面に置き、もう1枚をそのうえに重ねます。ちょうど貝殻をひらいて、それぞれの湾曲した背の部分をくっつけるようなかたちですね。

それを上から石で叩きます。だんだんと叩く強さを増していき、先に割れてしまった方の負け、というローカル色あふれる子供の遊びでした。

勝負は一度きり

僕たちは、この遊びのために拾った貝を何十個もポケットのなかに忍ばせていました。そして休み時間のたびにお互いの貝を殺し合っていたのです。

この遊びのシビアなところは、1度負けてしまった貝が2度と戻らないところです。勝負はつねに1度きり。決着がつくときには必ずどちらかの命が失われます。

どうです、ゾクっときませんか?

たいていは薄っぺらい貝ですが、ごく稀にとんでもなくぶ厚い貝があります。ヘタをすると厚みが1センチを超える突然変異もありました。

雨の日はそんなキングオブキング、王の中の王と呼ぶにふさわしい「ボス貝」を見つける絶好のチャンスだったのです。

下を向いて歩こう

大雨の日に傘をさして下を向いて歩く子供は、大人から見るとさぞかし不気味だったでしょう。なんらかの「サイン」みたいなものを感じてしまう親御さんも、あるいはいたかもしれません。

こっちは終始ワクワクしながら歩き回っていたのですが、周囲にはいらぬ心配をかけてしまったのではないかと、今頃になって思っています。

近ごろは、なんでもリセットしてコンティニューできる便利な時代ですよね。しかし、この貝割りのような一期一会の体験に、より楽しさを感じてしまうのはなぜでしょう。

あのとき持っていたナンバーワンのボス貝は、今も実家にある僕の机の引き出しに、ひっそりと収まっているはずです。




※追記
机の中の宝箱を探ったら見つかりました。ちょっと画像が粗いですが、こちらがボス貝になります。

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たてよこ1センチ、重さはエンゲージリング2つ分くらい。何度か戦ってフチが欠けています。正式名称はわかりませんが、周りのオトナ達はバカ貝と呼んでいました。これの2倍くらい厚みがある貝を持っている子もいました。

いやー、懐かしいですね。



んじゃ、またね。


今週のお題「雨の日が楽しくなる方法」