ちるろぐ

ここが僕のアナザースカイ

20の僕へ

50歳を過ぎて失業すると、つぎの働き口を見つけるのはむずかしい─。

そんな話しをみんなよくするけど、それは本質的じゃない。じつは働く場所なんて、日本中にいくらでもあるんだ。

でも、僕らはそれを受けいれられない。

なぜか?

もう僕には、働く気力がない。

それが真実なんだ。



のまない、打たない、買わない─。

そんな暮らしを20年続けてきて、たまの余暇は、Amazonプライムビデオを見たり、スマホゲームで遊んだり。

夜は無料のエッチ動画ばかり。お気にいりは女の子のパンツをはいたお尻をなでなでするムービー。そう。まさしく僕は、あわれなモンスター(性癖)。

究極のコスパ生活のなれの果て。

残ったのは銀行残高18.000.000の数字だけ。

はじめは、お金を使わない人だったけど、いまは、お金を使えない人になってしまった。板チョコ88円から148円に。袋ラーメン58円から108円に。お米1キロ370円から980円に。

日々、成長する物価に、僕はアップデートできずにいる。なにも買えない。なにも使えない。
そして僕は、萎え衰えている。茹で時間をまちがえて、フニャフニャになってしまった麺のように。

反逆者だった僕は去り、どこか自閉症気味のおじさんがここにいる。ポケットのナイフは朽ち果て、コロコロでカーペットを掃除している。

こんな結末、30年まえにわかっていたら、ほかになにかできたんだろうか…。