ちるろぐ

ここが僕のアナザースカイ

救急車に乗ってみた

コロナのおかげで、自宅待機している新卒の子らには「このまま働かずに給料をもらい続けたい!」と強く思う子がいるらしい。

まさか。

僕じゃあるまいし、本当にそんな新卒の子がいるのかな……。僕の知る一般的な若い子は「ちゃんと働いて給料をもらいたい」と、強く願っていると思う。


このまえ、はじめて救急車に乗った。

公道をファンファンいわせるすごいやつ。白線を飛びこえて爆走するレボリューション。

いや、ふざけんな、気安く救急車よんじゃダメ、ってのはもっともだけど、本当に、ワンチャン自分で運転して病院いくつもりだった。

でも、もう、動けないの。

すごい汗吹き出すし、視界は涙でぼやけるし、1ミリも動けない。

うんこしたらスッキリして治ると思っていた。そんな時期もあった。僕にもそんな時代があった。

だいたい腹痛なんて、誰にでもあばれだす宿命みたいなものじゃないか。ちょっと便座にしゃがめば治るもの。

でも、とてもじゃねぇけど、しゃがんでる場合じゃねぇの。のんきにそれどころじゃねぇって感じで。

いったんは、落ち着いてデスクに着席したんだけど、当然、治るわけもなくて……。

そこを黙って耐えるのが僕。

という男なんだけど、もう目の前がブラックアウト。ペインはガンガンにヒートアップして、腹に手を突っ込んで、雑巾をしぼるって感じ。

とうとう、座ってもいられなくて、ぶざまに崩折れて、汚れるのも構わず地面にうずくまってしまった。




それから、いろいろあって、詳細は省くけど、結論からいうと、尿路結石っていうのだった。だから、おしっこしたら治っちゃったんだよ。

やっぱり、救急車は呼ばない方がよかったのかなと思って、看護婦さんに「大げさだったでしょうか……」って、しょんぼりして聞いたら「そんなことないですよ、痛いですものね」って、やさしく言ってくれた。

やっぱ病院って好きだ。

人間の儚さ、脆さとか、痛みや苦しみを、すべて肯定してくれる。やさしく包みこんでくれる。結果はどうあれ、苦しみや痛みを取り除くため、日々働いてくれる人たちがいる。

ここには、このまま働かずに給料をもらい続けたい、なんて思う人は、ひとりもいなくて、僕のような者にも、分け隔てなく気づかって、治療してくれる。

ときどき、顔の見えないだれかが、この国には希望がない、とか言うけれど、僕はどんな時代より現在がいい。

夢も希望もあるし、もちろんコロナだって退治できる。

がんばろうニッポン。