耳を澄ますと、たくさんのノイズが聴こえてくる。
それは、僕がはじめて買った古いデスクトップパソコンに触れたあの頃のような、放熱ファンの回転音でも、HDDのカリカリ引っ掻く咀嚼音でもなく、たとえるなら、廉価なイヤホンのホワイトノイズのように僕の内耳に響いてくる。
僕の命運は、株式会社はてなが、その尊い自治権を、市場へ二束三文で売り払ったときに、終わっていたのかも知れない。
おかげで、僕のブログはグローバリゼーションの暴風にさらされ、風前の灯になった。裸の叫びは18禁の掟に断罪され、キャンプファイヤーを楽しんだ砂浜は、KEEPOUTのイエローリボンに締め出された。
そして僕は夢を見た。
伝説のウォークマンが、はてな社屋の屋上から投げ捨てられ、固いアスファルトに激突して、粉々に砕け散った夢を。
ちなみに、はてな社が上場の引き換えに手にした金は、深くくわえこんだ求人広告を、さらに誤クリックしやすくしただけだった。
だから僕は誓った。
この逆境を跳ねかえして、祭りでも、炎上でも、釣りでもない、まったく新しいオピニオンコンテンツを創ろうと。テキストサイトの屍の上、その伝統芸能を踏襲しつつ、まったく新しい文化を創造してみせると。
それが僕のブログなんだ。