ガリンペイロを知っている?
ガリンペイロ(garimpeiro)とは、ポルトガル語で金鉱採掘人、発掘人のこと。主に、ブラジル・アマゾン奥地で1970年代に起きたゴールドラッシュ以降に流入し、過酷な生活・労働環境下で一攫千金を夢見る人々を指す。
むかし、外国にゴールドラッシュというブームがあって、金がたくさん採れるところに、人がいっぱい集まって来たんだよ。そこで一攫千金を夢見て、穴を掘り続ける人夫たちのことを、人はガリンペイロと呼んだ。
そして現在、ブログ界隈も、空前のゴールドラッシュに湧いている。自分の書いたブログに広告をはる。商品を紹介してカネを稼ぐ。そんな、お金目当てでブログを始める若者たちだ。
僕は彼らをガリンペイロと呼んだ。
記事を量産するガリンペイロ
ガリンペイロたちに、昼や夜といった時間の概念はない。起きている時間はすべてブログ書きに費やしているからだ。ペイオロードと呼ばれる古参のアフィリエイターたちが、狙ったキーワードで結果を出すのに対し、ガリンペイロたちは、ただひたすらに記事を書く。
カスカーリョというキーワードが埋まった層をツルハシで書き起こし、泥まみれになりながら記事を書き出す。
先輩ガリンペイロの教えにしたがい、新人ガリンペイロたちの、質より量で数を稼ぐ泥臭いライティング手法だ。
ある日、どう見ても具合の悪そうなガリンペイロと出会った。僕は「今日も更新するんですか?」と尋ねた。
するとガリンペイロは言った。
「むかし、すぐ隣のブログがビックワードを掘り当てたんだ。3メートルと離れちゃいなかった。やつは大金もち。オレは貧乏なままだ。本当は休みたい。だけど今日はオレにツキのある日かも知れないだろ?だから休まない。休めないのさ」
ガリンペイロたちは、今日がそのツキのある日だと信じて、記事を掘り続ける。股間に汗をかきながら、キーボードを地面に叩きつける。
金と女とイカしたMac
昨日見たブログが404(消えて)になっている。いつの間にか辞めている。それがブログの日常である。今日は、3人の大学生が船に乗ってやってきた。その多くは20歳前後だ。
その中のひとりの若者がこう言った。
「大学のサークルでペイオドーロを見かけたんだ。イカしたMacを広げて、周りに女の子が群がっていた。とにかく羨ましかった。彼のようになりたくてここに来た」
そして、新入りのガリンペイロたちは、それぞれのブログを立ち上げるまえに、寄る場所がある。それが、塾やサロンと呼ばれる売店である。
売店はペイオドーロが経営しており、新入りたちは、そこでノウハウを買う。値段はまちまちだが中には相場の30倍以上する品もある。新人ブロガーは、それをnoteでダウンロードする。ゴールドラッシュを夢見て、買い漁るのだ。
当然だが、まだ稼ぎのない新入りたちは、マイナスからのスタートになる。
新米ガリンペイロの夢
新入りのガリンペイロは、とにかくがむしゃらに記事を書く。塾やサロンの会費、ブログ飯などの書籍代金を回収しなければならないからだ。ひとりの若者が我々のスタッフに話しかけてきた。
「今はちっぽけなブログだけど、大学卒業までに10倍に成長させて、就活はせずにフリーランスで生きていきたい」
すると、近くにいたブックマーカーがすかさず茶々を入れた。
「お前の夢の(金の)ために、クソ記事をまき散らかすんじゃねえ」
純粋な向上心から夢を語った若者は、「ネガコメはやめてください」と言い、対象のユーザーを非表示にした。しかし、それでも執拗に罵られて、ついにはふさぎこんでしまった。
だが、しばらくすると気を取り直し、何ごともなかったかのように報告しはじめた。
「今月のPVは◯万です!収益は◯万円でした!目標の◯◯万円も近々に達成出来そうです」
寿命の尽きたブログ
精神を酷使するガリンペイロたち。そのほとんどは1年以内にひっそりとブログを放置している。理由は多忙であったり、デジタルデトックスであったりと様々だ。しかし、本当の理由はだれにも分からない。
連続更新に精神が悲鳴をあげたのかもしれないし、出会い系商材とブログ人格に精神のバランスを崩したのかも知れない。
一ヶ月で10万円を稼ぎました!
三ヶ月で月間30万PVになりました!
今こうしている瞬間にも、ガリンペイロは記事を書いている。ブログ収入という一攫千金を夢見て、記事を書き続けている。
その文章は、いったいだれに届くのだろう