たまには仕事の話でもしようかな。
僕の会社には、いくつかの部署があるんだけど、ある部署だけ極端に労働条件が悪い。具体的には朝が早いうえに拘束時間が長いんだよ。
本来なら、人員を増やすなり賃金に差をつけるなりして、手当てするべきなんだけど、それがなかなか難しい。
人件費の予算をオーバーしてしまうからね。
そこで目をつけたのが新卒なんだよ。新卒の良いところは、モチベーションが高くて社内事情に無知なところ。
部署というか、役割によって差があり過ぎるってことは、いずれバレるんだけど、それまでは何も知らない新卒をあてがって仕事を回していく。
最初はうまくいくね。
新卒はとにかくヤル気と体力があるから、時間も気にせずにガンガン働いてくれる。おまけに「自分は新人だから」っていう、思いこみもあるから、1年は余裕でいけるんだよ。
だけど、時が経つにつれ、仕事も覚えて慣れてくると、だんだん気づいてくる。業務内容と賃金がバランスしていないぞってことに疑問をもちはじめる。
なんかおかしいぞって、やっぱり気付いてしまうんだよね。
そして、優秀なヤツほど「なんかおかしくないですか?」っていってくる。
僕は内心、もう気付いちまったか……とか思いつつも
「新人のくせに文句を言うな!」
なんて、大きめの声で恫喝して誤魔化す。ま、これで大抵は押さえこめる。社内的な立場も、発言力も、社歴の長い方が圧倒的に有利だからね。
そうすると新卒は病みはじめる。
忙しいうえに押さえつけるんだから当然だよ。
僕は内心「すまんな…」とか思いつつ見て見ぬふり。
この手法でたいてい3年はイケる。
それで壊れたら、また新しく雇えば(買えば)いい。
新卒を潰し保身をくわだてる老害
上記は極端な例だが、同じ理屈で新卒を採用している会社は確実にある。
新卒は社会経験がないから企業のブラック体質に気がつきにくい。そのタイムラグを巧妙に利用して使い潰すという手法なんだ。
これが表面化しにくいのは、全体がブラックではないところで、一部が真っ黒なのに全体にならすと白っぽい。
結局は、仕事量と賃金がバランスしていないからいずれ壊れるけれど、また雇い直せばいいので、企業側にとってはむしろ好都合。
この世界には、そういう会社が沢山ある。