サラリーマンは、気楽な稼業ときたもんだ
と、歌ったのは植木等だったっけ。それはどうでもいいんだけど、最近、深いため息ばかりついている。
仕事はルーチンワークで、もう作業でしかないし、趣味もインターネットも、プライムビデオで完結してしまっている。
人との付き合いもダルくて、女の子にも興味が薄れてきてしまっている。興味というか、欲求がそれほどでもなくなって、なんというか…
いや、そんな話はヤメておこう。
生まれたときからクソダサい僕だけど、恋人のことや性的な内容は、胸のうちにしまって、墓場までもっていくのが、人として最低限のデリカシーだと思っているからね。
とにかくもう、矢も尽き、刀も折れ、心がくじけてしまったんだ。
僕の休日なんて、布団のうえにパンツ一枚であお向けになって、天井の模様を見ているだけなんだ。最後のワールドカップで、ピッチに倒れて天を仰いだ中田英寿のように。
これから、僕の人生で、グッとガッツポーズしたり、コロンビアのように勝ち誇ったり、心の底から笑えるようなこと、あるのかな。
子供のころみたいに、走ったり、泣いたり、笑ったりできるのかな。学生のころみたいに、根拠のない万能感を感じられない。
おのれを知ってしまったんだ。イヤと言うほどに、自分の無力と、向き合ってしまったんだ。
僕はもう、このまま朽ち果てていく。体育座りで、萎えてしまった睾丸を見つめながら、頭を抱えて涙するのみなんだ。
どうしてこんな、カラッポになっちゃったんだろう。いつから抜け殻を被っていたんだろう。
どうして、どうして、どうして…。
ま、いいか。
高望みしてもしょうがないし、スクワットして、テレビでも見よう。冷蔵庫にプリンとガリガリ君もあるから。
気楽にやろう