これはちょっと、まだ生物学的な検証がひつようなのかもしれないけど、まずはこちらを見てほしい。
僕のうちの庭というか、家と生け垣のすきまの地面に、下水につながるフタがある。真ん中に見える丸いの。
専門的には汚水溝という、キッチンとお風呂の排水がながれてくる、排水口で、家の築年数が長くなったら、たまに掃除してあげないと詰まりの原因になったりする。
ここを、先週、開けてみたら、もの凄く大量のヘドロが出てきた。ヘドロと言っても、黒くてドロドロしたものじゃなくて、まっ白い動物性のラードのような固まりなんだ。
その内訳は、台所の洗剤や、洗濯機の洗剤、それから、流しの油分や、人間の皮脂などが蓄積して固まったものらしい。
ニオイは、そんなに臭くないのだけど、スコップですくうと、出るわ出るわ、白い固まりが、およそ10キロくらい、それこそ、砂場で作った山と同じくらいの量が出てきた。
ひと通り、全部すくったあと、「これ、どうやって捨てようか」と、悩んだあげく、重そうだから乾くまで置いておこうよ、つまり放置しておこうよ、ということになった。
それから、1週間経ったきのう、様子を見たら、あのヘドロが、ぜーんぶ消えていた。
(フタの右上にあった山が消え、うっすらと白い跡だけが残っている)
僕は、びっくりして彼女に「捨てたの!?」と聞いたら、驚きの答えがかえってきた。
なんと、自然と減っていったらしい。彼女がいうには、朝、出かけるときに、玄関のタイルに例の白いヘドロが点々と転がっていて、もしかしたらカラスかなにか、鳥が持っていったようだと。もしくは、たまに庭を荒らしにくる、イノシシかもしれないと。
(タイルに残った痕跡)
(白いヘドロの乾燥したカケラ)
とにかく、なんらかの動物が10キロ近くあった、汚水のヘドロを、エサ用に持っていったんだよ。僕は「うへぇ、あんなの食べたら、ぜったい病気になるって!」と思ったけど、さて、どうなんだろう。
じっさいに目撃してないから、その真偽は定かじゃないけど、何者かが、あの禍々しい生活汚物を持ち去ったのは間違いないんだ。
捨てる手間がはぶけたのは、良かったのだけど、その行方がとても気がかりで、手放しで喜べない僕がいる。