僕も天下りしたい。
今朝、壊れかけのラジオを聞いていたら、パーソナリティが、お役所で出世すると天下りできると言っていた。
天下りしたら、働かなくてもお金がもらえるらしい。そんな場所から見える景色は、どんなだろう。きっと、僕の歪んだ風景とは、ぜんぜん違う、シャープでクリアな世界が見れると思う。
贈収賄にも憧れる。便宜をはかった見返りに、僕の欲しいモノやお金をくれる。銀行の帯の付いた、百枚がひと塊になった一万円札が、ポンとふところに入ってくる。
僕はそれを手にとり、文庫本のページにするように、パラパラと繰って、お札の匂いを嗅ぐんだ。きっと、カラッポな心に、温かい風が吹くに違いない。
枕営業も良いよね。女優になりたい女の子が、自然と集まってくる。そして、僕が眉間にシワを寄せて、考えるポーズをとると、女の子は、服を着たまま床に手をつき、お尻を突き出してくるんだ。
どれも、夢みたいな話しだけど本当なんだよ。
その証拠に、今日も明日もあさっても、この先ずっと捕まる人がいるのだもの。
世界は希望にあふれている。
僕はまだ死ねない。