ちるろぐ

ここが僕のアナザースカイ

本物のルーザー

わかっちゃいない。おまえは、なにもわかっちゃいない。

本物のルーザーを見たことがあるか?

おまえの思ってるルーザーは、とんでもなく薄っぺらい。例えるなら米津玄師のカジュアルでオシャレなルーザーだろ。違うんだよ。本物のルーザーはもっとタバコのヤニみたいに臭くて、擦っても簡単には落ちない。

男。50才。無職。糖尿病。

これがルーザーだ。

50という歳が本当に絶妙で、過去は否定され、未来は闇に覆われ、現在に希望はない。これが60なら、惰性で流せるし、40ならやり直す余白がある。

仮に、65才が労働者の終着点だとするなら、60からは5年、40なら、あと25年ある。

勘違いしないでほしいのは、これは本人だけじゃなく、社会一般の共通認識だということだ。50は若くない。かといって老いぼれているわけでもない。

いや、むしろ、普通に働いていれば、もっとも安定しているはずなんだ。

ここで、梯子を外されるのは、とてつもなくデカい。

ぐにゃぐにゃと不安定で、どうしようもなく狭い足場のうえに、ポツンと取り残されて、前にも後ろにも動けない。

むかし、若いころ、50前後のヤバいおっさん、クセ強のおっさんを見かけたけど、今なら「そうなっちまうよな…」、と思う。

守れないんだよ。

自分で自分を守れない。素っ裸で路上に放りだされた無力感。これならホームレスや生活保護者のほうが、おそらく強い。圧倒的に強いだろう。

どうすりゃいい?

トラックで、スクランブル交差点に突っこむ?
プリウスでミサイルになれって?
群青の空に輝く、栄光の架け橋はどこだ?

なにも見えねぇ。

もう、なにも触れないでくれ。

もう、毎日、途切れることなくマインクラフトをするしかない。