仕事がラクで、お金いっぱいもらえる会社にはいったら絶対に幸せになるって、1ミリも疑ってなかった。
僕がバカだったよ。
仕事が楽ってことは、そんな暮らしが長く続いたら、どうなると思う?
競争力もなくて、知識も身につかなくて、経験もない、中身スカスカ、からっぽおじさんになっちゃうんだ。
なんでそんな、単純なことに気づけなかったのかな。
たぶん、お金いっぱいがエライって、子どものころ刷りこまれたせい。
僕は「お金がすべてじゃない」と言いたいんじゃなくて、ようするに方向性の問題なんだ。
大人になったらすべきことって、働いてお金をもらうことじゃなかった。
大切なのは「稼ぐチカラを身につける」こと。
むろん給料の良い大きい会社に入るのは正解。
ただし、そのなかで、自分が得るものというか、いつかなりたい自分になれるかってことが、いちばんなんだ。
なにを当たり前のことを、って思うかもしれないけど、ちがうんだよ。
つまり目標設定なんだ。
目標がお金になると、仕事に対して「カネさえもらえりゃいい」ってなりやすい。これが、からっぽ化のステージをゴリゴリにあげていく。
「出世したい」と「カネが欲しいは」似ているけど本質はぜんぜんちがう。
たとえば「最高にくだらないコミニュケーション」が出世のカギだったとして、やるとやらないではスキルの伸びが大きく変わってくる。
かたや、カネさえもらえりゃいいからっぽおじさんと、最高にくだらないコミニュケーションを愚直にこなしたごますりおじさん。
どっちに稼ぐチカラがあるか、説明するまでもないよね。
いやいや、最高にくだらないコミニュケーションなんかやりたくないし、と思ったなら、どこかで道をまちがえている。すでにライフプランの見直しが必要になってる。
お金じゃなく夢。
妥協じゃなく忍耐。
僕のこのあわれな姿をみてくれ。
あの「なれはて」のように、地面をずるずると這いまわり、体液のシミをのこしながら、行くあてもなく彷徨う僕を。
からっぽおじさんは「カネさえもらえりゃいい」と思って、夢をもたなかった。
僕に相応しい、いいザマだ。