また仕事を押しつけられたよ。
いつもそうなんだ。うちの会社には「できません」という人が多すぎて、いつも僕にロクデモナイ仕事がまわってくる。
それなのに、会社は「この人にだったら任せられる。そんな働きをしてくれ」なんて僕にいう。
おい。ちょっと待ってくれ。
任せるもなにも、現状、僕がやっている業務は、ほかにできる人も、やる人間もいない。つまり、僕がやるしかない。最初からおんぶに抱っこの状態なのに、任せるもへったくれもないってこと。
まったく、どうなってやがるんだ。
年商1億も割り込んでしまったのに、事務員が三人もいる。ああ、先月またひとり、ゴミが増えたんだ…。
僕は、泥のようなヨゴレ仕事を片付けて、やっとタイムカードを押す。やれやれ。ひどい目にあったよ。
こんな日は早く帰ろう。
そう思ってクルマに乗りこんで、ひと息つくと、目のまえの道路を、可愛い女の子が通り過ぎた。
うちの会社は、駅の近所だから、夕方になると、仕事がおわって家路につく、看護婦さんやオフィスレディ、これからお店へいく、夜のお姉さんなんかが、いっぱい通るんだよ。
それにしても今日は多いな…。
次から次へと、薄着になった女の子たちが流れていく。どこかで信号が変わるたびにドッと女の子が流れてくるんだ。
みんな、柔らかそうなおっぱいを持っている。大きいのから小さいの、カタチもいろいろだけど、どれも優しそうに、ゆっさゆっさと揺れている。
おっぱいの流れ星や…。
スカートの帆をひるがえして、ふたつのおっぱいを運んでいる。小さい船から大きな帆船。そのどれもが、大航海時代みたいに、おっぱいを運んでいる。
フロントガラスの向こう側、数多のおっぱいが、どんどん流れていくんだよ。薄いTシャツでくるまれたり、白いブラウスをツンと押し上げたり、装いはさまざまだけれど、ふわふわしたおっぱいを、どこか遠くへ運んでいく。
届きそうで届かない。そんな、夢みたいな、不確かな残像をのこして、おっぱいは旅をする。
さて、そろそろ帰るか。
明日もがんばろう。