柴崎友香さんの『わたしがいなかった街で』を読みました。
著者の柴崎さんは、1973年生まれで、僕より2つ年上のお姉さんですが、ほぼ同世代なので、僕の見てきた世界は、彼女の目からはどう見えてるんだろう、なんて思いながら読み始めました。
あらすじ
主人公は、砂羽さんという36歳の女性です。仕事は事務系の契約社員、趣味は戦争のドキュメンタリー物をみることです。物語は、砂羽さんが、旦那さんと離婚して、新しいお部屋に引っ越すところから始まります。
あらすじというか、ストーリーは特になくて、砂羽さんの思ったこと、感じていることを中心に、一定期間(半年くらい?)の日常生活が描かれています。
感想
けっこうワクワクしながら読み始めた本書なのですが、肝心の砂羽さんが、ちょっとヤバい女というか、精神を病んでしまっている感じで、真ん中あたりから、最後まで読むのは、正直苦行でしたね…。砂羽さんの言わんとすることは、わかるんですよ。世界では、戦争や悲惨なことが日々いろいろありますから。しかし、どうも彼女は、そこに関係性を見出そうとしているんです。
僕も、阪神淡路大震災や、東日本大震災、アメリカ同時多発テロをなんかを、リアルタイムで見てきた世代ですから、そのときはやっぱりショックでした。
しかし、戦争も災害も、「理不尽な死」というのが根底にあって、それを言い出したら、子供の病気なんて、その最たるもので、もう、神を呪ってくれとしか、言いようがないと思うんです。
その現実のまえで、戦争ドキュメンタリーをテレビで見て、自分との距離感をはかるのは、悪趣味というか、無意味な気がします。
最後にある、夕陽の景色も、どこか宗教っぽくて違和感がありました。戦争なんてやめましょうという共通認識は持ちたいのですが、何を見て感動するかなんて、人それぞれじゃないかなと。
僕の彼女なら、孫の成長が一番の感動ですし、世の多くの男性は、美しい夕陽より、好きな女性の裸の方が、より大きな感動を受けてしまうんじゃないかなと、そう思うのです。
…いや、たぶん僕の読み方が見当外れで、もっと深い内容なんだと思います。気になったら読んでみてくださいませ。
- 作者: 柴崎友香
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/11/28
- メディア: 文庫
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ではでは。