こんちは。チルドです。
旅のラゴス、みんなが絶賛するし、本屋でもオススメされていたから読んでみたよ。
いちおう、物語のあらすじをざっと説明すると、主人公のラゴスが旅をしながら、不思議な冒険をする。背景はSFだけど、恋愛あり、冒険あり、年代記もありの、小説の面白さがギュっと詰まった本。
僕の知っている本では、S・キングのダークタワーを想起させる世界観だけれど、ラゴスの方が舞台としては面白い。
SFらしく、瞬間移動や空中浮遊、憑依というような特殊能力も登場するんだけど、そのどれもが童話のような暗喩を含んでいて、それが物語に違和感なく溶けこんでいる。
その中で、僕が感銘を受けたのは、ラゴスがヒーローじゃないところ。
ラゴスは、なんでも解決できるヒーローじゃなく、謙虚で常識的な善人なんだよ。悪党に簡単に捕まるし、奴隷にもなったりする。巨万の富も栄光にも興味がなく、最愛の女性とも結ばれない。
でも、僕には、ラゴスがとても豊かな人生を歩んでいるように感じた。それは、ラゴスの旅が、人を傷つけること、人を利用することの虚しさを語っているから。
象徴的なのは、森番の老人、ドネルとのやりとり。ドネルにとっては、すでに手遅れだったけど、読者へは「人生を豊かにするのはキミ次第」という強いメッセージを突きつけてくる。
結局のところ、自分を支配するのは、自分自身でしかないんだよ。僕はラゴスの生き様から、そんなことを学んだ。
おすすめです。