きのう道路に出ましたよ。
車道に飛び出してくる老人です。
僕の1台先を走っていた車の前を、初老の男が走って横切って行きました。完全にあわやというタイミングでしたよ。
こっちは時速50キロ前後で走っていたのですが、前の車が気づいて減速しなかったら、軽くはね飛ばしていたでしょう。
僕は「危ないなー」と思いつつ、その老人に視線を向けたのですが、そこには驚愕の光景がありました。
なんと、その老人は杖を持っていたんです。
右手から車道を横切って左手の歩道を歩いていたんですが、手に杖を持ってるんですよ。いや、「傘だろ?」と思って、何度も見直したんですが、明らかに杖でした。
わかりますか?
さっき走っていた人が杖を持ってるんですよ。杖って、歩行が不自由な方のための補助具じゃありませんでしたっけ?
暴かれた真実
ひとまず落ち着きましょう。たとえ足が悪くても、あせって走ることはあるかもしれません。車にひかれたら一撃ですからね。目測を誤ったのに気づいて、あわてて走ること、あるかもしれません。
しかし、老人は、走った後もふつうに歩いていました。息も切らさず、杖を地面にもつけず、ぶらぶらさせながら、ゆうゆうと歩いています。まったく問題なくね。
つまり、その老人にとって杖はポーズだったんです。
からだに不自由が無いのに、場合によっては弱者を装っている。弱っているフリをして、他人の特別な配慮や親切心を引き出そうとしているんですよ。
僕は、今にも車を止めて、老人の杖をとりあげ、激しく打ちすえてやりたい衝動にかられました。
そこに深い闇を見てしまったからです。
人って歳を重ねると、あんなに小狡くなるものでしょうか。あんな人がいると、本当にからだの不自由な人まで、迷惑をこうむるかもしれません。
どうにかしたいものです。