「君くらいの書き手なんて、山ほどいるんだよ。君がいなくたって何も変わらない」
僕はその言葉を、日当たりが悪くジメジメした部屋の片隅にうずくまり、いくども反芻していた。僕くらいの書き手なんて、山ほどいる。僕がいなくっても、何も変わらない。
その通りだ。
僕は、僕が消えても何も変わらないのを知っている。始める前から知っていた。僕の書く拙い文章では、世界を変えられたりはしない。吹けば飛ぶような知性の端切れでは、この場所を変えることすら、とうてい出来やしない。
才能もない。消えても何も変わらない。
ならば、僕はなぜ生まれて来たのだろう。日々、ブックマークしブログを書くのだろう。
他人の才能を際立たせるため?
刺し身のツマのように才能を引き立てるため?
人は才能がないから夢見るのではないか。何も変わらないから、居場所を探すのではないか。
そうだ。居場所だ。
才能の欠片もないけれど、文章を書きたい者。
生活の鬱憤を、ブコメに吐き捨てたい者。
ネット以外では、会話もまともにできない者。
承認欲求に、魂を売り飛ばした者。
勃起不全と、なった者。
はてな村には、多くの社会的敗残者たちが流れ着いた。
僕らは、近藤淳哉の魂に惹かれ、伊藤直也が魔界から召喚した、敗残者という名の亡霊だ。はてな村に棲み着いた悪霊だ。
今のチャラったはてなに、上場なぞ、させんぞ!!
見よ!
この美しくも醜い、異形の者どもが、そのドス黒い重油のような鮮血を塗りたくったこの村を。
超えられない壁よ!、メンヘラの森よ!、こじらせの川よ!、すべてが歪(いびつ)に変形して、ぐにゃぐにゃに折れ曲がった性根は、奇形の柱となり神殿を築いておる!
それがこの村の自然なんじゃあ!
上場わぁ!自然をぉ!
破壊する!
口にするだけで空気を汚染するんじゃぁ!
考えることすら許さん!
上場は禁止だ!
永遠にだッ!
立ち上がれ。負の感情を纏った友人(漆黒の亡者)たちよ。
今こそ、我らの邪悪なる魂を結集し、平成生まれの野望を打ち砕くのだ。上場を全力で潰すのだ。好日山荘に二束三文で投げ売りされているような、見せかけのクリーンルームの天井を打ち破り、ありったけの汚物を注ぎ込むのだ!
罵詈雑言の呪詛で燃やし尽くすのだ。
はてな村を死守するのだ!!!