僕らのトピシュさんがKindle本を出版されたと聞き、さっそく読んでみました。
はじめに、著者の斗比主閲子(トピシュエツコ)さんって何者? という方に解説しておきます。もう知ってるよ、という方は次章まで読み飛ばしてください。
斗比主 閲子とは?
僕が知る限りですが、トピシュさんはインターネットの匿名時代から活動している古いネットユーザーです。トピシュの由来は、おそらく「トピック主」の略で、読売新聞のオンラインサイトに発言小町という女性向けの投稿コーナーがあるんですね。発言小町では、匿名のユーザーが、家庭のいざこざや、夫婦関係の相談や愚痴を書きこんでいます。その内容に、匿名のユーザーがアドバイスする、という心温まるサイトです。
発言小町では、はじめに投稿した人をトピックの主、略してトピ主と呼んでいました。その連想から、斗比主(トピ主)閲子(閲覧?)という仮名を名乗っているのではと思われます。
トピシュさんの人物設定は、既婚、旧帝大卒、二児の母、ということですが、その正体は謎に包まれています。
古き良き時代のインターネットは、今のように実名ではなく、匿名が一般的でした。つまり「誰が言ったかではなく、何を言ったか」で評価される時代があったのです。
そんなアンダーグラウンドな世界で異彩を放っていたのがトピシュさんでした。
内容と感想
そして現在、彼女が運営しているブログが「斗比主閲子の姑日記」であり、今回の電子書籍は、その総括的な位置付けにあるのです。本書では、さまざまな属性を持つ人々の、数々の悩みや相談を食してきた著者が、その人生とどう向き合うべきか、30のトピックからなるQ&A方式で伝えています。
冒頭に「まずは、気になるQ&Aからつまみ食いしてみてください」とあります。これは、トピシュさんの、おもてなしの心だと思うのですが、僕はむしろ、すべて通しで読んでみることを強くお勧めします。
なぜなら、自分が気になっていた事柄はもちろん、自分にはまったく関係無いと思っていたトピックから、より新しい発見があったからです。
世の中には、男性、女性、夫婦、独身、老いも若きも、多様な価値感、さまざまな環境で生活しています。そして、はたから見ると幸せそうに見える人たちも、実は多くの悩みを抱えて生きていることを知ります。
そんな人々の悩みを読むと、その立場に置かれている人が、何をどう考え、何に悩んでいるのか見えてきます。すると、視野が広がるというか、自分の置かれているポジションが明確になってくるんですね。
僕は、この本から、社会の縮図、人間の地図を見たような感覚になりました。そして、ここが自分の座標だと、強く感じました。
以下、蛇足ですが、僕が気になったQ&Aをまとめてみました。
僕のためのQ&A
Q8.「彼氏/彼女いない歴=年齢です。どうしたら恋人ができますか?」
僕には、年が離れた彼女がいるのですが、同年代の女友達はいません。というか、彼女以外には友人がひとりもいないのです。このQ&Aは、その原因を分かりやすく解説してくれています。
ぼんやり生きていると、結局、自分の好みのタイプがわからないんです。好みのタイプわからない→誰を好きになればいいかわからない→彼女ができない
という流れです。
まずは、多くの人と交流して、自分が好きなタイプを知るところから、始めなければならなかったのですね。
Q12.「友達/恋人/仕事先での会話がなかなか盛り上がりません。どうしたらいいでしょうか?」
僕は、会話するとき、相手に質問するのが有効なのは、知識としては知っていたのですが、単純に質問するだけではダメなのですね。 そこから会話を広げていく方法が具体的に解説されていて、非常にためになりました。
Q20.「愛って何だと思いますか?」
愛については、わかっているつもりでした。問題は、僕が誰も愛せないことなんです。年上の彼女に甘えてきたダメ人間の末路でしょうか。いつか僕も、誰かを愛せるようになりたい…。叶うなら、マーク・ザッカーバーグのように世界中を愛したいです。
Q21.「周りの友達はバカばかり。どうして自分はこんなに友達に恵まれていないのだろう?」
僕はこう感じて、友達を減らしていき、やがて周りに誰も居なくなりました。よくよく考えてみると、過去の友人と知り合ったキッカケは、学校やアルバイトの共通点があったからなんですよね。このQ&Aを読んで、環境を変えて行くのは、自分自身でしかないと痛感しました。
Q16.「どうしても窮地に追いやりたい人がいるのですが、どうしたらいいでしょうか?」
僕のダメなところがコレです。どうしても人や社会を恨んでしまいます。こちらでは、恨みや憎しみを抱いてもメリットがないこと、デメリットの方が大きくなってしまうことが、とても分かりやすく書かれていました。
Q19.「友人が自慢ばかりしてきます。三ツ星フレンチでディナーをした、五ツ星ホテルに宿泊した、外車を買った、億ションを買ったなどなど……。どうしてこんなに自慢をしてくるんでしょうか?」
僕は、自分が自慢話をしないので、するひとの心理がわかりませんでした。意味がわからないと、聞いても面白くないので、軽く流していたのですが、この章を読んで腑に落ちました。もっと早く知っていれば、あの時間をもっと有意義に出来たんじゃないか、そんなふうに感じます。
まとめ
著者の足跡から駆け足の紹介ですが、伝わりましたでしょうか。個人的には、トピシュさんの文章からは優しい香りがすると感じています。ちょっと変な表現ですが、雰囲気があるとゆうか…。
トピシュさんは二本の足でしっかりと歩くことを教えてくれます。
僕は、空ばかり見て歩くことがおろそかになっていたようです。まずは歩くことから始めてみよう…。そう思える読後感でした。
みなさんも、ぜひ試されてみてください。Kindleで気軽に読めますので、とてもオススメです。