人柄が良さそうに見えたので採用したら、まるで使い物にならず、それどころか周囲の足を引っ張って業務に支障が出てしまった、という経験はないだろうか?
私はある。過去にたまたま人を採用する立場になったとき、かなり慎重に選んだつもりでも、ありえないミスを繰り返す、何年経っても仕事を覚えない、というようなジョーカーを引き当ててしまった。
日商簿記検定資格は、その手のリスクを回避する有効な目安になりうるのではないか?という視点からこのエントリを書いてみる。
試験と仕事の互換性
簿記が専門知識とはいえ、用語の説明を聞けば素人でも意味は分かる。しかし日常生活や義務教育でほとんど見聞きしない単語であるため、簿記の学習はまったくのゼロからのスタートになる。そして試験では それらを理解したうえできちんとした説明を要求する問題が出題される。教科書の丸暗記では合格点をとれないようにしてある。
そういった観点からすると、日商簿記検定は、ある程度の人格形成がなされた段階で新しいことをゼロからインプットしアウトプットする適性がどれくらいあるかを問えるのではないだろうか。これは仕事を覚えるプロセスに非常に近く、その適正を測る意味での日商簿記検定は有効であると感じたのだ。
3級について
過去問題集を繰り返し解き、内容を全般的に理解し、集中して丁寧に回答すれば受かる。超カンタン、誰でも受かる、と言われるのはこのためだ。ただし試験範囲が意外と広いので社会人が学校の試験と同じ感覚で受けるとスベる。試されるのは、処理速度、集中力、注意深さである。
仕事面の判断基準としては、 日本語が通じる。仕事上の専門用語を憶えられる。常識の範囲内の計算能力がある。 ひとつの事をやらせておけば適度な時間と品質でこなせる。
2級について
上記3級の内容に加え、簡単な原価計算、利息計算、数字の対応関係などを問われる。何度受けても合格できない人が一割くらいいるかも。試されるのは、読解力、応用力など。
仕事との互換性としては、グラフを作れる。複数のタスクを関連付けた思考ができる。問題点とその因果関係を把握できるなど。
1級について
2級より5倍難しい。取得まで平均約1000時間、1年くらいはかかる。経理の専門職を目指せる。というか、本気で良い条件の職を見つけて稼がないと、もろもろのコストを回収できない。高校生で2級を取得できる人なら、ここから税理士、公認会計士を目指すべき。ネットでは否定的な意見もあるが、実務を通じて実力をつければ、どの会社に勤めても通用する。知識が武器なので年齢的な縛りがないのも強み。
自分の今までの社会経験と、2.3級を学習した内容をすり合わせての考察。あくまでまったく使えない人の見分け方の目安であり、対人スキルなどは考慮されていない。
なにかの参考になれば幸いです。