ちるろぐ

ここが僕のアナザースカイ

クローム侍は語る。スマホの権限と個人情報の未来

スマホを手に入れて、アンドロイドのアプリをダウンロードしていると「権限」という用語が出てきた。「権限」につい調べてみると、どうやらアプリケーション側がこっちの情報を読み取るのをどこまで許可する(権限を与える)のかって事らしい。


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photo by Sinistra Ecologia Libertà


2005年

ほんの10年まえ、僕はパソコンの不要なアプリケーションを削除するのを日課にしていた。当時のパソコンは低スペックなのにメーカーがやたらとアプリケーションを抱き合わせて売っていたんだよ。

僕はある日、それらをいくつか削除するだけでパソコンの動作が驚くほど軽くなることに気がついた。

パソコンの荷物(メモリ)を減らすると速くなる。

それを学習した僕は、いつもタスクマネージャーを起動してメモリの増減に目を光らせていた。そしてバックグラウンドでコソコソしてる連中を見つけては片っ端から削除していた。

あるとき「隠しファイル」の存在を知ってからはもっと激しくなった。こんなところに隠れていやがったのか…という感じでばんばん消していった。パソコンの動作に支障がなければ、いくらでも非情になれた。あげくの果てには、罪のないアイコンやウインドウズの起動音まで消し去っていった。

こうなるとパソコンの不審な動作にめちゃくちゃ敏感になる。不要な物がなくなって研ぎ澄まされていくんだよ。

そして残ったのはブラウザだけだった。それも、IE(インターネットエクスプローラー)なんてポンコツじゃなくて「クローム」。グーグル謹製の世界最速ブラウザは、余計なアプリケーションを削除した僕のプラットフォームでそのキレ味を存分に発揮してくれた。

僕はクローム侍になったんだ。

クロームひとつで日本中を旅した。国内に飽きると今度は海外(おもに米国)まで足をのばした。ときにはアンダーグラウンドにも踏みこんでみた。電子の大海は無法地帯もいいところで本当にヤバかった。

スマートフォン

あれから10年の月日が経ち、インターネットは様変わりした。規制は強化され、常に監視の目も光っている。とくにこのスマートフォンは管理され過ぎている。まるで子供のおもちゃだ。自分では何ひとつコントロールできやしない。

おまけにスマートフォンは情報がダダ漏れてると思う。丸裸だよ。

現在地はもちろん、行動履歴、写真、動画、音声、趣味、好きな食べ物、考え方から性癖に至るまで、ぜんぶ筒抜けになっていると思っていい。スマートフォンの権限フルアクセスとは、つまりそういうことなんだ。

これは近い将来、プライベートな情報が白日のもとにさらされることを意味している。

ウェブクラウドに膨大にストックされたプライベート情報たちは、セミの幼虫のように日の目を見るときを待ち望んでいる。