誰にだって、人生に一度くらいは「モテ期」があるらしいね。僕にとってのそれは、二年前のあの日、ブログでお友達を募集したときだった。
当時の僕には、長年連れ添った老齢の彼女がいて、 今も仲睦まじく暮らしているのだけど、僕はちょっと退屈していた。
彼女とは、いくら仲良くっても、もう67歳。話すのは楽しいけど、外に出て一緒に歩きまわったり、お家でビー玉遊びができるほどアクティブじゃなかった。
そこで思いついたのが、お友達を募集してみることだった。僕と同年代か、もうちょっと若い子でもいいかな。
あの時はまだ、僕のブログも人気があったから「今ならイケるかも」って感じの、軽いノリ。
転がるビー玉
運命の歯車は、普段は気付くことなく、まるで、悪質なアプリのように、バックグラウンドでひっそりと起動している。お友達募集の記事も、誰からも音沙汰のないまま、月日が流れていた。よくよく考えてみたら、いくらネットのアイコンが愛でられていたとしても、中身の人間まで愛されているワケじゃない。
僕は「やっぱダメだったかぁ」という感じであきらめていた。そして、また、フザケた記事を考えているうちに、そんなことはすっかり忘れてしまっていた。
そんなある日、自宅のポストに一通の手紙が届いた。
なんの変哲もない、ただの封筒だったけれど、表書きには「友だち募集の件」と書かれて、裏返してみると、そこには見覚えのない名前が記されていた。