ファミコンと亡き母の思い出

ゴールデンウィークは、旅に出ようと思ってた。

でも、やっぱり出かけられなかった。なんか人が多そうだし、道も渋滞するし、疲れるだけだから。僕はベッドで、ずっとそんな言い訳を自分自身にしていた。だれに聞かれた訳でもなく…。

長い休みの2日目、実家の姉から電話があった。荷物が残ってるから取りに来るように、ということだった。実家を出るとき、部屋にあった物はキレイさっぱり処分したハズなのだけど。

とりあえず「あとで…」と曖昧な返事をして電話を切った。


捨てられたファミコン

実家へ行くと、玄関の棚に古びたダンボール箱が無造作に置かれていた。中を見るとファミコンだった。

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これは、間違いなく、30年前に母に捨てられた僕のファミコンだった。

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(スマホのカメラ補正で白く映るけど、実際はものすごく黄ばんでいる)

コントローラーに貼ってあるシールを見て思い出した。ファミ通という雑誌に付属していたシールだったと思う。

こっちがツーコン。

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こっちがワンコン。

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ボタンのシールが剥がれてしまっている。
原因はたぶんこれ。

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昔はカセットの裏に説明書きがあった。

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めちゃくちゃハマっていた。なんか指が痛いと思ったら、親指の皮がむけて出血していた。

僕は、ゲームに夢中になると、コントローラーへ必要以上にチカラを込めてしまったり、前歯を強く噛みしめてしまったりする。オマケに終始ブツブツとひとり言をこぼしている。

そんな僕の、常軌を逸した姿に、母は悪魔を見たのかも知れない。そして、我が子かわいさに、ファミコンへ罪をかぶせたのだ。


キッチンの奥から

なんで今更、こんな物が出てきたのか、姉に聞いてみると、キッチンの収納棚にしまってあったと言う。

今、考えたら、母が物を隠す場所と言ったら、家のなかで、唯一、キッチンしかなかった。

でも当時は、それどころじゃなくて、僕たちを残して急に逝ってしまった彼女は、ファミコンの隠し場所を告げる暇もなかった。

写真のなかの母より、ずっと歳をとってしまった僕は、まだ結婚もできずに、ゲームばかりしている。淡い結婚願望を持っているけど、もしも僕が、子の親になっても、まともに育てる自信はない。

40を過ぎた僕でさえ、そう思ってしまうのに、母は、20代の前半に姉を産んでいた。

国分寺の朽ちかけたアパートの一室で、0歳の僕と1歳の姉を抱えながら、彼女はどんな未来を描いていたのだろう。

僕にはわからない。

今年のゴールデンウィークは、亡き母との思い出の旅になった。




今週のお題「ゴールデンウィーク2017」