土曜日にお家に帰って、やれやれ、明日はやっとお休みだよ、とか思って油断していると、夕方から次の日の朝まで爆睡してしまう。
それで、目がさめると、なんか臭いんだよ。毛布かな? と思って匂うけど、どうも違う。部屋着かな?と思って、手の甲や袖口を鼻でクンクンするけど、そうでもない。
もしやと思って、シャツの襟をひっぱって、顔を突っ込むと、やっぱり臭かった。臭いのは誰のせいでもなく、僕自身だったんだよ。サイアク。
これが加齢臭ってやつなのかな。
僕は、けっこう、ニオイに過敏で、洗濯した下着やタオルが乾いても、ちょっと匂うと、洗い直して!って、駄々をこねる。それが僕の数少ないわがままの一つなんだよ。
他の人のニオイは、そこまで気にならないけど、自分が発生源になるのは嫌なんだ。
僕が駄々をこねると、彼女は「そうかしら…?」と言いつつも、イヤな顔ひとつせず、すぐに洗い直してくれる。
僕は、自分のわがままが通ったことより、まるで暴君のように振る舞ったことが、ちょっと気まずい。だけど、ホントにクサいんだよ。
そんな彼女は、もう68歳になるけど、ぜんぜんクサくない。寝ているスキに、色んなところに顔を押しつけてクンクンするんだけど、まったく匂わない。女の子って、クサくならないように出来てるんだろうか…。
なのに、どうして僕はクサくなってしまうんやろう。やっぱりニコチンが皮膚からにじんでくるのかな。お酒は飲まないから大丈夫なのだけど。
困ったもんだ…。