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散るろぐ

千載具眼の徒を待つ

ときめき禁止。僕が犯罪者にならないために

暮らし

「恋は若返りの妙薬」というけれど、街を歩く僕は、それこそ四六時中、恋をしている。

バス停で物憂げに空を眺める女子高生。ハーフコートで駅の改札を颯爽とかわすお姉さん。ピッチリしたTシャツで胸を弾ませてランニングするあの子。

もしも、あの子と暮らしたらどうなるのかな。子供は二人がいいな。双子がいい。海の見えるマンションに住もう。花火が見える高いところがいいね。そんな風に僕は、ありとあらゆる時と場所に恋をして、将来を夢みている。

しかし、恋は刺激になるけれど、過剰摂取は危ないよね。僕みたいに、だれかれ構わず恋をしたら、いわばラリった中毒者だ。

気持ちは二十代だから、行きつけのコンビニでも、新しい子が入ると「お、おお!」となる。もう嬉しいというより、感動してしまう。

それから、しばらくは毎日通ってる。あの初々しい感じがなんとも言えない。まさに天からの贈り物じゃないか。


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一方でそのコンビニには、50代らしき2人の女性もいる。だけど、そっちが出てくると、一気に気分が落ち込んでしまう。

生気が失われるというか、僕の本当の姿というか、僕が惨めでちっぽけな存在なんだと、わからせる、そんな態度をとるんだ。

消えてほしい。

ただ、僕も40代になってしまった。もう若くないし、高校生の子供がいてもいい年齢なんだよ。

そんなおじさんが、コンビニの高校生のアルバイトに、ときめいてしまうのは、許されないよね。僕に許されるのは、そんな彼女たちを、遠くから見守って、無事でありますようにと祈ることだけなんだ。

おっさんは、女子高生にときめいてはいけない。

それは、誰に言われたわけじゃなく、僕の中で決めたルール。

時間は無情に過ぎ去り、透明なぶ厚いカベになって、僕らを隔ててしまう。

そして、手に入らなかった幸せを、ひとつづつインターネットに書いて、電子の空に流していく。今日、またひとつ、不埒な夢が散っていった。