ちるろぐ

ここが僕のアナザースカイ

家族とはなんだったのか

ひさしぶりに車で出かけたよ。

まだ正月休みのせいか、道はがらがらに空いていて、快適な滑りだしのドライブだった。

ところが、駅前の通りを走行中に、横断歩道じゃないところから、六十がらみのおっさんが飛び出してきた。

こっちがすぐ気付いたから、命拾いしたけど、あんなのが轢かれるんだろうね。

チッ!

今年は出さないと誓った舌打ちが、勢いよく飛び出してしまった。そんな苦々しい思いで、おっさんをよく見たら、僕の父だった。

去年の2月に実家を出て、それっきり一度も顔を合わさなかったんだけど、やっぱ生きてたんだ。

正月も合う気はさらさらなくて、電話すらしなかったけど、まさかこんなところで出会うとはね。

そこで思ったのは、僕が父を轢いちゃったら、あっちは訴えてくるのかな、ってことだった

慰謝料とか請求するのかな。

僕は加害者であると同時に、被害者の遺族でもある。そう考えると笑った。初笑いだよ。

そう言えば、アネーレは元気だろうか。アネーレというのは、姉のことで、アモーレをもじって僕が勝手につけた新しい呼び名なのだけど、ちょっと寒い。

たまに電話で声は聞くけど、会うと甥っ子二人がついてくるから、正月は音信不通にしている。お年玉など、ねだられると厄介だ。

ああ、可愛いなんてこれっぽちも思わない。騒がしいし、言うこと聞かないし、暴れるし…。あれが可愛いと思うほうが異常。

やれやれ。

しかし、親とか家族って、なんだったんだろう…。

薄情だと思われるかもだけど、僕はあっちが、ある日ポンと消えても、それほど驚かない。こうやって一人暮らしを始めてからは、特にそう思うよ。

たしかに、病気なんかしてしまったら、頼らざるを得ない状況も、無くはないんだろうけど、居なけりゃ居ないで、なんとかなるんじゃないかな。むしろ、居ないほうがいい。

僕は、基本的に彼女と暮らしてはいるけれど、もしも一人になっても、なんとかやれるし、なんとかする方法も知っている。

それに、一人の方が気楽でもある。

良いとか悪いとかじゃなくて、それが僕という人間なんだよ。


今日はそんなところ。