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散るろぐ

千載具眼の徒を待つ

カギを忘れる技術

暮らし

近ごろ、忘れ物が多くて困っている。家に帰って「カギが無い!」と、あわてたら、車につけっぱなしだった。

ちなみに、僕の駐車場は歩いて7分の場所にある。つまり、カギを車につけっぱなしで帰ると、再度、車に引き返すというタスクが発生してしまい、本来ならば、片道7分ですんだところ、片道7分+往復14分の、計21分かかってまうのだ。

僕は、生まれつき、忘れ物が多いから、家も、クルマも、会社も、カギは全部ひっくるめて、ひとつにまとめてある。こうすることで、家のカギさえかければ他のカギも絶対に忘れない、という強固なロジックを完成させていた。

ところが、最近、そのロジックにほころびが生じている。カギをつけっぱなしで、カギ束そのものをそっくり忘れるという、あらたな脅威が訪れたんだよ。

近所の駐車料金が高いから、歩いて7分の、安い場所を借りているのだけど、こうなるともう、カギをまとめる戦略が破綻してしまう。初動でかけ忘れ(置き忘れ)ると、すべてのロジックが崩壊してしまうんだ。

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事例その二

もう一つ例をあげると、僕の仕事には、集金の業務がある。宅急便の代引きをイメージしてもらうと分かりやすいかな。

まず、商品、領収書、釣り銭。この3点を持って顧客宅へ向かう。そこで荷物を渡して現金を受け取るんだよ。

ところが、商品と領収書を持つと、釣り銭を忘れ、領収書と釣り銭を持つと、商品を忘れる。数学的に分類すると、AB、AC、BCの3つのパターンが交互に発生するんだよ。

これが、一度や二度ならまだしも、ほぼ毎回起こるから、たまったもんじゃない。これについては、未だに抜本的な解決策が見つからない。


第三の脅威

そして今日、あらたな脅威が襲いかかってきた。ふと気がつくと、カバンの中に「印鑑」が無い。

前述したように、カギをひっくるめるロジックに従って、僕は大事な物をぜんぶカバンにまとめているんだ。

それなのに、印鑑を入れた袋が見当たらない。

僕は、軽いパニックになってしまい「印鑑がない、印鑑がない」と、早朝から騒動を起こしてしまった。そして、あとから判明したのは「印鑑なんて、いつもいらないや」と思って、自分で引き出しにしまっていたのだ。

どんなに複雑なミステリーも、ナゾが解けてしまえば「なーんだ」ということになりやすい。要するに、人生は難解に見えるけど、答えはわりと身近にあるってことなんだ。


カギを忘れる技術

僕もとうとう40歳を過ぎてしまって、いろいろ厳しい局面を迎えている。将棋では、まだ中盤だけれど、思わぬ一手で、一気に寄ってしまうことだってある。

忘れ物の多さと、無くなることに関する強迫観念。

この2つは、僕の人生をとても複雑にしているよね。人生の前半では、「まとめる」という集中戦略が有効だったけれど、僕自身のパフォーマンスがさらに下降したことで、あらたなロジックが要求されている。

願わくば、スマートフォンとロックの概念が、枯れた技術の水平思考によって、結びつくといいのだけど、一般化するには、まだ時間がかかりそうだ。

時代が僕に追いつくのを、気長に待つしかない。