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散るろぐ

千載具眼の徒を待つ

失恋は卒業

暮らし

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失恋ってつらい。

なんだか僕のぜんぶを否定されたみたい。自分がなんの価値もないゴミくずに思えてしまう。すっごい衝撃もある。

う、うう……。

ごめん。まだ整理しきれなくて…。

最初はね。こころがね、ふぁ〜と、ふぁ〜とね、羽毛みたいに舞いあがってた。

それがね、突然の雨で、ぐっしょり濡れて、ドロドロした塊になって、泥濘んだ水たまり落ちてしまう。

運命の人だと思ったんだけどなー。
もう、この人しかいないって、思ったんだー。

笑えるよね。

運命とか、この人しか、だとか。

そんな、確かなモノ、あるはずもないのに…。


思い出のデート、二人で歩いた道、はじめてキスしたあそこ…。

ぜんぶ、過去。

なにが悪かったの?
僕なの?
彼女なの?

もうなにも見えなくて、津波がドッと流れてきて、ぜんぶがまっ暗になる。ハッキリしてるのは、僕への愛情がなくなって、過去になったってこと。

痛いよう。

痛い。

わかって、もらえる?


失恋は卒業

あれから苦しんだよー。死ぬかと思った。

気持ちをね、引き立てようと思うのだけど、体のチカラが抜けていくの。スー、とね。消えてなくなりそう。

彼女が、ほかの誰かと会ってるのを見て、ウボーって、吐いちゃったりして。涙でぐちゃぐちゃになって、トイレのなかにしゃがんで、口の中が酸っぱくって…。

汚くてごめん。

でもさ、それから、部屋の天井を見ながら、思ったの。

別れって卒業みたいって思った。

ホラ、学校を卒業するみたいに、僕も卒業しなきゃって。

学校って、苦しいけど楽しかった。無責任に笑いあえた。バカな話を、放課後にえんえんとしてた。なーんの利害もなくて、ただ、気が合うって理由だけで、友だちと呼べた。

でも、卒業してしまえば、それぞれが、それそれの道に向かって、別々に歩きだす。

卒業しても、また会おう。
いつだって会えるんだから。

そんなふうに思ったけど、卒業には、決定的に欠けてしまう、なにかがある。

もう、二度とやり直せない時間がある。

意味がなくなる。

戻れない自分がいる。

制服にだって、袖をとおす理由がなくなる。

いつだって着れるのに…。

だけど、それは、悲しむことじゃなくて、新しい世界へのスタートでもあった。未来なんて言うほど、素敵じゃなかったけど、希望があった。

つまり、恋も学校も、同じ時間を共有した、子供だった自分にさよならして、大人になっていく、過程なんだって、そう思った。

いつか、自分の人生とも、さよならしなきゃならなくなる。だから、今も、なんとか生きられるし、何かを残したいとも思う。

その節目、節目の、出会いと別れがあるから、笑ったり泣いたりできるから、誰かに優しくなれるから。もしも、なんの感情も、なにも感じられないとしたら、それは、こころが死んでるのと同じだもん。

一生を、おなじ人と添い遂げられたら完璧だけど、人間ってたいてい不完全。

自分のダメなところ、無邪気に期待しすぎてしまったところ、寄りかかってしまった弱いところ。

卒業の日になって、はじめてわかる色んなこと。

それがぜんぶ、傷になって、経験になって、同じ痛みに共感できる、人間らしさを持てるんじゃないかな。

僕らはきっと、そうやって、大人になって、それが大人になるってことなんだと思う。

楽しかったことも、嬉しかったことも、それがぜんぶ思い出になって吹きぬける。


風に散る、桜のように。





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