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散るろぐ

千載具眼の徒を待つ

自分でお店を出してみた話し②

仕事

前回までのあらすじ


詰んだ

オープンの初月は、なんとか15万ほど残せたのですが、その後は下がる一方でした。そして2ヶ月が過ぎ、落ち着いた段階で、これは詰んだな…、と実感しました。

人を雇って軌道に乗せるには、あと2倍の売り上げが必要でした。しかし、どんな業種でもそうですが、固定された店舗では、何かを変えて急に売り上げが伸びたりはしないのです。

とても優秀な販売員がいたとして、仮に交代したとしても、2割から3割、伸ばせればいい方です。それも、前任者がよっぽど杜撰だった場合です。

店で売れないなら、外で営業しなさいよ、そう思いますよね。ところが、不幸なことに、大きな商業施設のテナントに入ってしまったため、ときどき店を閉めて、ちょっと外出、というワケにも行かなかったのです。

また、15年前なので、インターネットの販売も難しい状態でした。当時、会社内部の事業として参入していれば、今ごろ成功していたかも知れませんが…。

動きたいけど、動けない─。

僕は、カイジで言うところの「詰み」。つまりチェックメイトの状態に追い込まれたのです。


精神と時の部屋

いろいろ継続する方法も、考えてみたのですが、どれも気の進むものではなく、突き詰めると他人に迷惑をかける手段でしかありませんでした。

また、僕が起業した目的は、普通に働ける職場を作りたかっただけでした。いわゆる、成り上がりや、成功することではなかったのです。

そして、最終的に選んだのは、これ以上、傷口を広げないようにする事でした。僕は、残りの300日を「精神と時の部屋」で過ごすことを決意したのです。

精神と時の部屋

漫画ドラゴンボールに登場する異空間。神の神殿の中にある真っ白で何も無い世界。時間の流れが外界とは違い、外界での1日が、部屋の中では1年(365日)に相当するため、短期間でパワーアップできる、修行に最適な環境とされている。

ほぼ、お客さんが来ませんからね…。僕はそこで、小説を500冊ほど読んだでしょうか。朝10時から夜8時まで、10時間ひたすら文字の世界に没入しました。

当時、よく流れていた音楽は、BUMP OF CHICKEN、宇多田ヒカル、RIP SLYMEなどです。未だに「楽園ベイベー」や「COLORS」が不意に流れてくると、当時の暗い感情が、まざまざと蘇ってきます。


こんとこ呪わっちょー

しかし、連続勤務が100日を過ぎると、精神的にも、ちょっとおかしくなってきました。たまに、お酒を浴びるように飲んだり、30万円のピアスをキャッシュで買ってプレゼントしてしまったりします。

朝からスーパーで缶ビールを調達し、ふぐ刺しを肴に、読書しながら一杯。それが完全に習慣化してしまいます。意味もなく涙が流れたり、ワケもなく可笑しかったり…。

車上荒らしに遭い、マルチ商法の誘いが何度も来たりと、悪い霊気や妖怪が、どんどん引き寄せられてきました。あげくの果てには、ぜんぜん知らない爺さんが、店頭で不意に立ち止まり、「こんとこ呪わっちょー」(原文ママ)と、血走った目で口走るなど、不可解な出来事が立て続けに起こりました。


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無事に釈放

そんなこんなで、1日、1日を、なんとか生き延び、ようやく365日の刑期を勤めあげ、僕は自由の身になりました。

幸い、残った店舗と設備は、引き継ぎ先が見つかったので、継続して営業することを条件に、保証金の100万は無事に取り戻すことができました。しかし、現金では200万、その他の経費を考えるとトータルで300万ほど、失ったのではないでしょうか。

僕は、「勉強になった」という言葉は嫌いです。実際の失敗は、そんな一言で片付けられるほど、単純ではありません。

しかし、この経験から得た物は、確かにありました。


計画の重要性

これは、あくまで僕の個人的な考えですが、計画はとても重要だと思います。

  • どうしてそれをやりたいのか?
  • どうやって実現するのか?
  • どこがゴールなのか?

まずは、自分に問うてみてください。どうしてそれをやりたいのか。そして、具体的なプランを練ってください。なにを仕入れ、どこで、どう売って、どれくらいの利益を出すのか、出来るだけ細かく明確な数字にしてみてください。そして最後に、どこを目指すのか、どうなったら理想なのか、最終目標を設定してください。

それらを書き出してみて、自分が納得できれば、それは、やる価値のあることだと思います。

また、その計画の良し悪しを見極める、一番良い方法は、誰かに出資してもらうこと、つまりお金を借りることです。

よく、周りはみんな反対した、という話しを聞きます。しかし、誰かひとりは必ず協力者がいたハズです。それは、例えば、恋人であったり、お嫁さんであったり、親であっても構いません。

たったひとりも説得できない、信じてくれない、成功を祈ってもらえない事業には、誰もついてきません。そして、誰も幸せにできません。ビジネスの成功は、いい意味で、どれだけ多くの人を巻き込めるかにかかっていると、僕はそう思います。

人は、ひとりになると、本当に無力なのです。


最後に

自分でお店を出してみた話しでしたが、どうだったでしょう。何かのお役に立てば良いのですが…。

ちょっと、まとまりの無い内容になってしまったのは、自分の中でも、うまく整理できていないからかも知れません。それに、商売をしたい理由は、人それぞれなので、一般化出来るほど単純なことでもないからでしょうか。

ともかく、置いておきますね。


ではでは。