一億総貴族

このまえテレビに、堀江貴文さんが出ていて「これから流行りそうな商売は?」という質問に答えていた。

バラエティ番組だったから、「マジメに答えていいんですか?」って前置きしてから、今後は芸術や音楽、娯楽やスポーツが主流になっていく、だから芸人さんも将来有望ですね、と語っていた。

理由は、世界は自動化されるからってことだった。つまり、今まで人間がやっていたことをロボットがするから、人間の仕事は無くなり、ゆえに余暇を充実させる商売が伸びていくということだった。

さすがホリエモン、相変わらずフルスイングしてるなあ、とか思いつつ、ぼんやり聞いていたけど、そう言われてみると、仕事ってずいぶん減ったよなと思う。


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昭和のバブルが、正確にいつ頃だったのか覚えてないけど、あの時代、僕たちは馬車馬のごとく働いていた。平成生まれなら、秒速で精神を病むような環境で、マジな顔して働いていた。

下請けの経営者は、仕事をとることじゃなく、どうやって断るかに頭を悩ませていた。仕事はあふれているから、やろうと思えばいくらでも受注できた。でも従業員を増やせば、増やした分だけリスクも大きくなる。手広くやると売掛金の回収が間に合わなくて、お金が回らなくなるんだ。

いっぽう僕たち労働者は仕事の効率化を考えていた。このままじゃ死んじまうぞってことで、シャレにならない仕事量を減らすべく、効率化に勤しんでいた。

そしてバブルは弾けた。実際には弾けたってより、風船がしぼんでいくように、徐々に空気が抜けていった。最近やることなくなちゃったな…って感じだった。

僕たちは、やることがなくなり、効率化だけが残った。最近、若い子に、どうしてこうしないんですか!って聞かれるんだけど、答えに詰まってしまう。

そっちのが効率的だからだよ、そうやったら、いろいろ面倒くさいことになるんだよ坊や、って思うんだけど、うまく説明できない。マニュアルなんて作るヒマも文化もなかったからなあ。


僕は子供のころ、刑務所に入っていれば働かなくても生きていけることを知った。それから、土地をたくさん持っていたり、お金をいっぱい相続したら、働かなくても平気だってことも。

それでも、まだまだやることはあった。小沢健二は、旅に出る理由がないと歌っていたけど、地方の貧しい僕らには、まだやることがあった。

しかし、もうさすがにやることがない。コンビニでは秒速で食料が廃棄されている。つまり、衣食住の供給が消費を圧倒的に上回ってしまえば、ほとんどの人は働かなくても生きられる。

生きるために働いていたと思っていたけど、働かなくても生きられる時代になってしまったんだよ。役割もなく、働く意味もない時代。これって貴族だよ。一億総貴族なんだ。

僕らは、ストレスや生存の危機感から開放された。おかげさまで、パートナー不在の焦燥感も激減した。動物的本能に由来する欲求に悩まされることもない。

やっほー